はじめに
この記事では、木造アパート(最上階・角部屋)の”とんでもない暑さ”について、私が2年間暮らしてきた実体験を元に、その原因と対策をまとめています。
とくに「これから賃貸を探す方」や「今まさに暑さに苦しんでいる方」に向けて、リアルな体験談と実測データ、試した対策の結果をお伝えします。
「エアコンを使ってるのに全然涼しくならない…」という悩みをお持ちの方、ぜひ参考にしてみてください。
室温44℃の住環境とは
まずは私が住んでいる住宅について紹介します。間取りは図1のようになっています1。

図の左下の部屋がダイニングキッチンで2DKになります。
物件のスペックは以下のとおりです。
- 木造2階建ての2階(最上階)
- 角部屋
- 採光:主に南と西
- 築20年以上(2025年4月時点)
- エアコンは2台(左側2部屋で1台、右側1部屋で1台)
南と西から直射日光が入る配置で、屋根にも太陽光が容赦なく降り注ぎます。木造+角部屋+最上階+築古という、これ以上ないぐらいに暑くなる条件が詰め込まれています。賃貸で断熱性がもともと期待できない上に、築20年以上ということで、断熱材が機能していない(あるいは存在していない)と考えられます。
夏の室温(実測データ)
図1の左上のピンク部分(床から70cmの高さ)に温度計を設置し、夏場の温度を測定しました。測定したデータが図2になります。

2024年は8月に最高気温を記録しており、42℃に到達しています。2024年が特別だったわけではなく、2023年はさらに暑い44℃超えになりました。
また、5月時点で既に35℃超えを達成しており、2月の暖かい日には30℃超えになる日もありました。
ちなみに採光が南と東となっている隣の部屋も同じように床から高さ70cmのところに温度計をおいて測定していましたが、2024年の温度は最高42℃でした。
ここまで高温になる原因とは?
これだけ暑いと、当然ながらエアコン無しで過ごすなんてことは不可能です2。そもそもなぜこんなに暑くなるのかの原因について説明します。
屋根裏に熱がこもっているため
太陽光が当たる屋根から住宅は暑くなっていきます。そのため上の階ほどその影響を受け、屋根裏は最も暑い空間になっています。夏場だと60~70℃まで上昇するそうです。屋根裏に接している最上階は屋根裏の熱の影響をダイレクトに受けて気温が上昇していきます。床下暖房ならぬ、天井上暖房を夏場につけているようなものですからどう考えても暑くなりますね。
外気と接している面が大きいため
角部屋だと、両隣に部屋がある物件と比べて外気と接している面が広くなります。その分、外から入ってくる熱の量が多くなるので暑さが増します。実際、我が家のトイレは唯一外気と接していない場所になりますが、ここだけわずかに涼しくなっています。といっても体感で1~2℃程度だと思います。角部屋でなくても、断熱性能の低い住居の最上階に住んでいる時点で40℃超えは避けられないでしょう3。
実際に試した暑さ対策の効果
とても人が住む環境とは思えない暑さですが、工夫次第でなんとか過ごしていくことは可能です。
私が試した対策法を表1に示します。
対策 | 効果 |
---|---|
スマートリモコンの活用 | あり |
エアコンの風向きを下向きにする | あり |
窓の断熱・遮熱フィルムを貼る | なし |
スマートリモコンの活用
40℃超えの部屋でエアコンを使っても、室温が30度を切るのに2時間以上かかります。家に帰ってからエアコンをつけていたのでは熱中症で倒れてしまいます。そんな環境ではスマートリモコンは必須です。
スマートリモコンとは
スマホから家電を操作できるようにするデバイス
スマートリモコンとは
リモコンで操作する家電をスマホから操作できるようにするデバイス
スマートリモコンで家につく少し前にエアコンの電源を入れておくことで家に帰るころには涼しくしておくことができます。Wi-Fi機能付きのエアコンでもいいですが、それだと高いですし、ついていない場合は買い替える必要があるので、断然スマートリモコンがオススメです。
エアコンの風向きを下向きにする
エアコンの風向きを下向きにするのも必須です。
一般的には空気を循環させて部屋全体を効率よく冷やすために、冷たい空気は水平に出すのがいいとされています。しかし、これだと屋根裏の温度を下げるために冷気が使われるので、エアコンが効きませんでした。部屋が涼しくなる前に干からびてしまうレベルです。
天井付近の温度は高くてもいいので、とにかく人が過ごす空間の温度を下げるために下向きに風を送る方が効果的でした。
窓の断熱・遮熱フィルム
窓の断熱・遮熱フィルムは残念ながら効果がありませんでした。
Amazonで、4割ほどの太陽光を反射するフィルムを購入し、左下の部屋の南側の窓に貼り付けました。2024年7月から貼り付けていますが、特にそれまでと室温に変化がないことが図2からわかるかと思います。
窓からの熱の流入が最も多いと言われますが、最上階だと屋根裏に溜め込まれている熱の影響の方が大きくなるようです4。
おまけ:冬は温かいのか?
屋根裏に熱がこもるから冬は暖かいのかというと、そうでもありません。日中は20℃弱まで室温が上がることもありますが、明け方は真冬だと10℃を下回ります。
つまり、夏は暑く、冬は寒い。完全に断熱が効いていない典型的な木造アパートの特徴です。木造最上階で安い賃貸を選ぶ際は覚悟して選ぶようにしましょう。
結論
木造アパートの最上階・角部屋は、想像以上に暑くなります。とくに断熱性が低い築古物件では、夏場の室温が40℃を超えるのも珍しくありません。
それでも
- エアコンの風向きを工夫する
- スマートリモコンを活用する
といった対策で、多少の快適さは取り戻すことができました。
とはいえ、構造的な問題が大きいため、根本的に快適な住環境を求めるのであれば、物件選びの段階で「最上階・角部屋・木造・築古」の4つの条件には要注意です。
これから引っ越しを考えている方、既に暑さで苦しんでいる方は、ぜひ参考にしていただければと思います。
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